ICO。

ゲーム(終わってない)が好きなので、小説も買ってみる。ゲームのノベライズは外しが多いのだが、何しろ今回は宮部みゆき! 大極宮の一人ともなれば、少なくともスカることだけはあるまい。
……で。

まず感想としては、宮部ってすんごい読みやすいなぁと。いや、実は初宮部なのですが(今月、初物多いよ……)、ホントにするする読める。もちろん、人間の汚さとか、悲哀とかもあるし、ラストはじんわりと感動もさせる。流石だなーと思いました。思ったけど。
うん、ぶっちゃけ、宮部はこの一冊でいいや、もう。流石だし、綺麗にまとまってるし、正味二時間(波動速読法なので)楽しめましたが――後に残んないのよ、この話。人間の醜さとかも、何と云うか、一般人が耐えられる(エンタメとしてね)許容範囲に収まってて、破綻がない。耐えられないような醜悪さとか、切迫感とか、絶望の底の祈りにも似た希望とか、そういうのがない。
エンタメとしては合格かもしれないけど――もっと違うものが見れたらよかったなぁと思いました。
でも、宮部が売れるわけも良くわかったけど。これだけさらりと読めて、後味も悪くなく(残んないだけかもだけど/笑)、綺麗にまとめ上げてりゃ、ファンもつくよね。いやぁ、納得。

でも、個人的には、やっぱり高瀬さんのノベライズ(ペルソナとか、エヴァーグレイスとか)の方が何倍も好きだなぁと思いました。
宮部にはない情念の力があると思います。それがあるから、あの人はイマイチブレイクしないのかも知れないけどね(苦笑)。
まぁ、ほら、人のシュミはそれぞれだから……