1ヶ月は空かなかった……

が、更新してないことにゃ違いない!


えーと、今月はまずちくま文庫から、『「芸能と差別」の深層』三國連太郎沖浦和光「芸能と差別」の深層―三国連太郎・沖浦和光対談 (ちくま文庫)
まだ第一部しか読んでないのですが、既に第一章の辺りで、すごい発言かましまくりの三國連太郎。つか、いろんな意味でいいんですか、こんなこと話しちゃって。

えーと、まぁあれだ、本当にタイトルどおりの「芸能と差別」の話ですよ。いや、それ自体は、網野(善彦)とかの本でよく書かれていたのでアレなんですが、そのへんのあれこれが、現役の役者さん(しかも三國連太郎!)の口から語られてるところが、何とも……
実際、中世以降の芸能を担ってきたのは、割と被差別部落系(今で云う、ですが)だというのは結構有名な話で、私も学生時代からちょこちょこと遊行芸能の徒について調べてた(正確に云うと、唱門師=市井の陰陽師絡みですが)ので知ってるんですけど、そっち系の資料って、部落史の本とかによく載ってるんですよね。千秋萬歳とか、門付とか、役者系はわりとそうですよね。今だって、結構芸能人はいろいろある人が多い(在日のひととか)のはそりゃ知ってますが。
しかし、三國連太郎のは、ホントに部落の話だもん。いいのか、つかいろんな意味で大丈夫か、とか思いましたよ! まぁ、親本は解放出版社が版元だけどさぁ……かなりびっくり。いや、あの、リアルタイムで部落問題と芸能の話が出てきたのが。
でも、三國連太郎と云う人は、ホントによく調べたり勉強したりしてるよなぁ――私が云うことじゃないけども。沖浦さんは大学の名誉教授ですが、その人とほぼ互角に話せてるもんなぁ。純粋に学術的な部分でも面白いですよ。日蓮の話とか、一向一揆の話とか、世阿弥の話とか、普通に面白いです。

う〜ん、しかし、私がこんなに「いいのか!?」とか思っちゃうってのは、やはり予備知識が下手にあるからなんだろうか……親父の田舎には、そういう話はほぼなかった(しかし、隣りの市には、唱門師の集落とかあったらしいのですが――柳田國男の「唱門師の話」に書いてあった)けど、義母は博多の生まれで、今でもそんなこととか云ってるもんな。東はわりと少ないらしいのですが、しかし三國の出身は伊豆――やっぱ、結構こっちまであったんだなぁ、と云うか、徳川さんは、西の出身だもんなぁ。そういうシステムを、関東にも持ち込んだのかなぁ。
親父の田舎にそういうのが残ってないのは、もしかしたら一向一揆のせいかも知れませんが。吉崎御坊とかに近かったし、かなり激烈だったらしいので、そのころ。


さて、もう一冊は『江戸の男色』白倉敬彦洋泉社新書y。江戸の男色―上方・江戸の「売色風俗」の盛衰 (新書y)
このひと、同じ洋泉社新書yで、『江戸の春画』とか書いた人です。
とりあえず、日本人の美少年好きは、江戸以前からだと云うことがよくわかりました(笑)。つか、女装する美少年が好きなんだ! でもって、受になったらひたすら受らしい――年食っても、受は受。但し、相手は必ず身分や年齢が上でなくてはならないらしいのですが。って、一部の耽美小説みたい(笑)。
まぁ、昨今のBL小説なんかは話には出てきませんが、我々の(笑)嗜好のルーツを垣間見れて面白いですよ。
図版が結構多く、しかも一部を除いてみんな男×男、どっかで見た構図だったり、違ったり。しかも、あの、ナニの品定めを……ああいやいや(汗)、その辺は現品を御覧下さいませ(汗)。
正直、今時BL系を愛好しているひとにとっては面白いとは云い難い本でしょうが、西洋の少年愛との違いとかあったりして(どっちにしろ、下克上は良くなかったらしいですよ/笑)。、その辺に興味があったりすると、面白く読めるかと思われます。
図版には期待するな(笑)。喜多川歌麿とかの絵も一部ありますが、まぁ何だ、ほとんどはあんなのとかそんなのだから。


さて、次回はお久しぶりの邦訳かな? パトリシア・マキリップの『影のオンブリア』(ハヤカワ文庫FT)で。
しかし、この日記(?)、扱ってる本のジャンルが、ほんとバラバラだよ……