こんどこそ。

『影のオンブリア』(パトリシア・A・マキリップ/早川文庫FT)。影のオンブリア (ハヤカワFT)


マキリップ、実は私の最初に読んだFTでして。えーと、『イルスの竪琴』三部作ですが。あの謎かけとか、「大地のあるじたち」とか「偉大なるもの」とかの言葉たちの織り成す、摩訶不思議な浮遊感(と、中学1年の時には思ってました)がとても魅力的で。FTの自分的ベスト5(何故ベスト5……)の中には入れるだろう話でしたが。


えーと、今回の『影のオンブリア』は、『イルス』に較べると非常にイメージがはっきりしておりました。訳者が違うからかな? (今回は井辻朱美氏ですが、『イルス』は脇明子氏)『ムーンフラッシュ』と『ムーンドリーム』は読んでなかったので、その辺何とも云いがたいのですが――ともかくも、今回はわりと普通のFT(それって……)のようにするりと入れました。
妾妃リディアと幼い大公カイエル、公女の私生児デュコンと“蝋人形”マグ、ドミナ・パール、魔女のフェイ――そして光と影のオンブリア。
ちょっとお話的に『剣の輪舞』(エレン・カーシュナー)を思い出しつつ、しかしやはりマキリップの方が面白い、というか一般受けはするでしょう。同性愛とかないしね(笑)。
幼いカイエルを助けようと、宮中の謀略の嵐をかいくぐっていくデュコンと、一度は宮廷を追われるものの、カイエルのために力を尽くそうとするリディア(好き♥)、そしてひょんなことから二人に関わることになり、やはり力を貸すことになるマグ――いや、面白かった、ラストを除いては。
つぅか、ラストがね――うーん、わからないではないけど、一瞬どうなったのか混乱しちゃうんだよね、読めばわかると思いますが。それまでのいろいろが、面白いだけに、ラストの処理(ああもう、純粋に文章とかの処理)が何とかなればなぁ、と、それだけが惜しい。むちゃくちゃ惜しい。
しかしまぁ、それ(つまり処理的な部分)以外は、面白く読めました。本当に。
個人的には、家庭教師のカマス伯爵が結構好きだったけど――でもまぁ、やっぱりリディアかな。

うん、個人的には、ラストに難があるものの、買ったこと自体は問題なかったです。FT好きな方には、お勧め。


で、コミックもいっとくか。
『Do Da Dancin'!』9巻(槇村さとる/集英社YYコミックス)。Do Da Dancin'! 9 (YOUNG YOUコミックス)
つかこの話、いま連載止まってるんですけど! Young You colorsで新連載が始まってて、これは止まってるんですけど! おーい、続きはどーなるの?
鯛子ちゃんと三上のこの先が気になる気になる〜! つか、龍一王子と静香さんの今後とか、真理姫の足とか!
連載分じゃ絶対ページ数足りないから、書き下ろしでも入るのかと思ってたのですが。えー、読みきり1本と、『イマジン』(最初の)の番外編かよ! ありなのそれは!
とととりあえず、連載再開待ってますよ。本誌の方の『ビリーヴ』も好きなんだけどね。つか、槇村の話は基本的に好き。私は『白のファルーカ』からの読者なんだけどね。


さて、今月はあと――よしながふみフラワー・オブ・ライフ』2巻くらいか?
プルートー』2巻(浦沢直樹)は――いいよね、手塚治虫文化賞も取ったし、他でもきっといろいろ書いてあるだろうから。