読まないままってのもアレなので、

読んでみました、惣領版『チェーザレ』。チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)


う〜ん……
び、ビミョー……
何がって、だからヴァレンティーノ公の性格とかが!
いや、時代考証はかなりしっかりやったんだなー(まぁ、講談社モーニングだしね)とは思うのですが、しかしながら、チェーザレ(この呼び方、何か落ち着かねーなー)の性格って、あんなんじゃないと思っちゃうのは、私の性格がアレだからか。


でも、結構有名な話の、弟のホアンを殺した疑惑とか、ああいうことを(まぁ事実であるにせよないにせよ――事実じゃないかとは思いますが)囁かれるような素地があるってのは、あんな温和なキャラじゃねぇだろって云う。だって、2歳年下の弟を殺しそうだと世間に思われる(まぁ、当のホアンがどうしようもない駄目男だったとしても)ってのは、やっぱ何か人と違うとこがあったんじゃないのー? と思いません?
で、22でその弟殺しの疑惑が浮かぶんなら、そこに至るまでの確執なんか、表立っての争いにまで発展していなくても、ずっと前からあったと思うんだよね。つーか、ないとおかしい。普通に考えたらあるだろう、絶対。
そうなると、16(惣領版開始時)のヴァレンティーノ公が、あんな素直なわきゃねーよと思うのですよ。きっとひねまくったキャラだっただろうなぁと。
同じような意味で、コロンブスもあんな性格じゃなかったよ。つーか、ああ云う“気の良いおっさん”タイプは、自分の信念貫き通して、未知の大陸目指したりはしない。結構エキセントリックで、陰鬱な狂信者、くらいじゃないと、行けるかどうかもわからない“ジパング”目指して旅だてっこないですよ。


そういう意味においては、新資料だか何だか知りませんが、人物の掘り下げは甘いなぁと思いますね。これは、資料云々の問題じゃないか。
まぁ、歴史の評伝とか見てると、心理学的&精神医学的にはどうよと云うような解釈も多いので、これは惣領冬実&編集部の責任に帰するのもどうよと云う部分はあるのですが、しかしまた、確かに最近の創作物ってのは、心理学的に甘い人物設定が多いことも否定できないのですが。


うーん、とりあえず本当に時代考証は頑張ってると思います。ミケの天井画が描かれる前のシスティーナ礼拝堂とか、いろいろね。
でも、でもなんだよなぁ。
あと、いつも書いてますが、レオナルド・ダ・ヴィンチは、ロレンツォ・イル・マニフィコには冷遇されてたんだってば。まぁ、見せ場を作ってあげたいのかもしれないけど……あまりにも買いかぶられた評価してると、ちょっと微妙な気分になりますよ……
大体、ヴァレンティーノ公16歳時は、先生、サライを拾ったばっかりで、それに夢中(つーか日々ばたばた)だったと思うんだけどね! まぁフィクションだけどさ、『チェーザレ』そのものはね……
まぁ、次巻以降も気が向いたら買うかも。気が向いたら。


とりあえず最近では、『レオナルド神話を創る』(A.R.ターナー 白揚社)レオナルド神話を創る―「万能の天才」とヨーロッパ精神が面白かったですよ。まぁ、一般向けの本じゃないですけどもね……(苦笑)