えらいあいたな〜。

一ヶ月の放置プレイ。
つぅか、大塚の新書が、N版の予定表に載ったくせに落ちたから……!
最近、とみに本を買わなくなってきてる(貧乏だからと云うよりは、金を出していいと思う本が減った)ので、まぁそんなこんなで。


で、今回の本は、外れなし! の秋山完さん『プリンセスの義勇海賊』(朝日ソノラマ)プリンセスの義勇海賊(シュバリエ) (ソノラマノベルス)。文庫じゃなくてノベルスで。
秋山さんですので、舞台は例の"懐かしい未来"の時系列なのですが。今回は宇宙の端っこ(?)"三公国"。そのひとつ、フリースラント公国の姫君が主人公。
いつものように、軍は出張るわ海賊は出るわ、なのに何ともほのぼのとした空気の漂う、これ、これだよ秋山さんの話って! って云う……何の説明にもなっちゃいませんな。
今回思ったんだけど、この人の話って、ちょっと『でたまか』の鷹見さんの話と似たところがあるなぁ――いや、設定とか、ぷちアウトローな人たちが頑張るところとか。
ただ、なんだろう、秋山さんの話のほうが、圧倒的に"やさしい"んだよね、世界が――出てくる人たちが。あと、何て云うか――小賢しくないと云うのかな……世界が書きたい、なんぞとは、この人は云わないんだろうなぁ、と云うか、この人にとっての世界は、別に気張らなくても、書いたものの中にはっきりと在るのだと云うか。
ああそれと、世界が、目に見えるだけの世界ではないというところは、ちょっと神林長平に似てるかもしれない。やさしい世界の神林長平。世界も、世界の中のちょっとした"不思議"も、何もかもがやさしい――この人の話は、本当に失敗がないんだよなぁ。これで、もっと書くのが早ければ……! って、何かの書評でも書かれてたよね、『吹け、南の風』の時に。
うちの相方が、「この人みたいな話が書きたいなぁ」と云って、間髪いれずに「え、だってあれは、人間が好きな人じゃないと書けない話だよね?」と返されてごねてましたが――秋山さんという人は、多分ほんとうに人間が好きなんだろうなぁ。人間と、世界に希望がある。それは、このご時世では、ほんとうに貴重なことなんだろうと思います。
次作も楽しみ。


あとはね……
須賀しのぶ『喪の女王 2』も買ったし、読んだけど――う〜ん、今回は感想書きづらい。まぁ面白かったけど。まぁ。
あ、同じコバルトで『天音流繚乱』(さくまゆうこ)がちょっと気になった。江河様が(笑)――わかりやすいシュミだなぁ、あたし(笑)。買うかどうか、まぁちょっと悩んどきますよ。


あと今月は……
なるしまゆり2冊、『Hyper Hybrid Organization00-03』、『幻水』中篇(え)、『BLOODLINK 5』、くらいかな。あれ、何でハヤカワJAの予定が入ってないんだ、Tハン文庫ラインナップ……!
まぁいいや、それ以外にも、何か面白そうだったら。

じゃま、

トリブラ画集ですね。
正式名称『fabrica theologiae』(ファブリカ・テオロギア)THORES柴本トリニティ・ブラッド画集(角川書店)。THORES柴本トリニティ・ブラッド画集 fabrica theologiae(ファブリカ・テオロギア)
完全予約生産とのことですが、うちは店頭分があったりするぞ……
えーと、素敵なお値段(¥8,500- 本体)ですが、まぁ仕方ないのかな……スリーブケース入上製本、表紙天鵞絨張り、タイトル金箔押し、今時珍しい糸綴じ製本、でA4版、って考えると、高くもない、んだろうなぁ。
楠本まき第一画集』楠本まき第一画集 「two decades」も似たような体裁でしたが、こっちは本文紙の紙質が違う(楠本のはアート紙とか)のと、外函がペラくて¥4,800-(本体)だってことを考えると、暴利ではない、のかな。
以前出た、小林智美の画集『艶舞』限定版(中央公論新社 5千部限定、シリアルNo.入)艶舞‐心拍数のリズムで―小林智美画集が¥6,000-(本体)で函なしだったしなー。


まぁ、価格の妥当性はおいとくとしても(いや、妥当でしょうけどね)、内容的には――そうですね、最後に出た『トリニティ・ブラッド Cannon 神学大全トリニティ・ブラッド Canon 神学大全 (角川スニーカー文庫)の表紙と、口絵の"その後のトリ・ブラ"は入っていません。が、それ以外は、雑誌の付録の下敷きのイラストから、CD、DVDのジャケットまで掲載されている(書き下ろし1枚+落書きFAX少々)ので、お得なのではないかと。個人的に、ハヴェル神父が好きだったので、文字の入らないイラストが見れて♥ でした♥
雑誌の切抜きを持ってる人(はは、ほとんど持ってますよ、私……)でも、文字なしver.が見れるのは良いのではないかと。
まぁ、モノクロのイラストがまったくないのは残念ですが、概ね満足、かな。どうせそのうち、普及版が出るんでしょうけどね……(貞本さんの画集みたいにね……)


で。
昨日開店だったY隣堂(前、"麟"って書いてたわ、私……)に行ってきました、ええ、偵察に。
つぅかまぁ、Y下跡地に、どんな風に作ったのかなーとか思って。
えーと、感想は――つるんとしてて、イマイチカラーが見えねぇ。什器も白が基調で、つるんとしたカンジ。
うーん、品揃えは、フロア面積のわりには頑張ってる、んですが、特に女性向けコミックなんか、Y下の気合いの入った品揃え(物量がというより、セレクトが)を期待すると、やや淋しいかも――うちの腐海の森よりはましなのかもしれない(腐海の森の品揃えは、見に行く気がないのでチェックしてない)けどね。
正直、利用駅があっちではない&そこまでの魅惑の棚ではないので、私はF屋で充分だ。つーか、あっちの棚の方がそそった。担当の目が行き届くようになれば、変わってくるのかしら……
とりあえず、タロット・カード(マニアなので)をひとつ買いました。スペインので、Labyrinth Tarotという、モノトーンのカード。安い(¥2,100- 税込)上にイラストが雰囲気良し。"死"のカードや"審判"のカードが綺麗でした。他にも野望のカードがあるのですが、それはうちのテナントのカード屋さん(ヅカ屋でもあり)で買おう。
後半のカウンターは新人ばっかみたいだ――「開店の景品」じゃなくて「粗品」だよ、坊や(笑)。


さて、次は大塚英志、八日以降で――突発で何か入れなければ。
そういや、『暴れん坊本屋さん 1』、何気に内輪で人気(あたり前か)と思ってたら、今日の朝日の書評に載ってましたね……! あそこの評者って、結構新書館とか、マイナー好きだよな……

大奥!

きたきた、待ってましたよ『大奥 1』(よしながふみ 白泉社)。大奥 (第1巻) (JETS COMICS (4301))思わず昼休み(一便だったから、11:30〜)に腐海の森へ買いに走ってしまいましたよ!
感想は、そりゃもう面白かった! 上様の傍若無人と云うか、鉈割り的お裁きっつーかのアレコレが! 思わず迷ってた同僚のKさんにも勧めちゃった!
ははは、大岡越前があれかぁ! 面白いね! いやぁ、相変わらずだなぁ、この人!
個人的に、杉下が好みだなぁ。水野もカッコいいけど、杉下。あのそこはかとなくくたびれたカンジがいい。藤波も、意外と好き。いや、積極的に"好き〜♥"ではないんだけど、何か憎めないよね、あの人。上司には持ちたくないタイプだが、お話の中で見てる分には可愛いよな。
しかし……
妄想全開なアレで申し訳ないのですが、どうにも上様が……他人とは思えなくて! つーか、よしながキャラの中で、一番自分に似てる(見た目込みで)と思ってしまった……この感覚は、アレだ、『伊達政宗の手紙』(新潮選書)読んだ時の、“何、この男、あたしに似てる……!”と同じ感覚だ! ……どうなのソレ。
まぁ、妄想だろうけどさ……よしながふみの祖父母という方々(品の良い老夫婦)にはお目にかかったことがありますが(“孫の漫画を……”とご来店だった――黒い表紙の本は買うなという指示だったそうで、新書館のだけ勧めておきました。西洋骨董一巻目あたりだね)、ご本人は――イベントで見かけた? くらいだもんなぁ。
しかし、こういうデジャ・ヴはやだなぁ。まぁ、殿(政宗)の時は、いろいろあった(怪談が)のでアレなんですけど、今回はそれだけはないし。
しかし、あの上様に似てるってのは――違う意味でどうなんだ。本当に。


まぁいいや、次。
何故か今回、おっそろしい勢いで売れてる『大人の科学マガジン 09』(学研)、究極のピンホール式プラネタリウムプラネタリウム (大人の科学マガジンシリーズ)有名なプラネタリウムクリエイター(そんな職業があるんだ!)が監修とかしたらしい。
初日からがつがつ売れて、本日(つーか29日か)完売してしまいましたが。恐ろしいのは、総入りの1割以上(多分)を売場の、しかもうちの売場の連中が購入しているという、この事実。だって、絶対10個は買ってるんだよ、うちの売場の人間が。あり得ねぇ。
ちなみに、こちら、定価は¥2,200-です。いくら社販(うちは2割引)だからって、すげぇよな!
とりあえず、発売当日、うちの仕入れの雑誌担当課長が学研さんに追加発注したのですが、返答保留だった上、休み明けに"出庫できません"という返事が来たらしい――箱の組み立てが終わってないのが版元にあるらしいと云う噂は……!
ポスターの写真が本当ならば、中々ナイスな付録(つーか、こっちがメインだろ!)のようなので、興味のある方は、見かけたら即GETが宜しいかと。


さて、次は――やっぱ8日の大塚英志
最近、芸術担当のたたっきー(仮)にそそのかされて、本に関するデザイン誌ばかり買ってるような気が……しかも、大抵のデザイン誌って、¥1,500-以上するんだよね……(泣)
あ、そういや『プリンツ21』恋月姫特集買いました。まぁ、なんてこともないです、が、それに¥1,600-くらい掛けたかと思うと……まぁ、これも社販だが(苦笑)。
ああ、あと、トリブラ画集だ! 装丁が気になる! 明日、つか今日発売だ! わーい、週末には掛けるぞ!

『大奥』の前に、

こっちから。
『闇の守り手 2 ナイトランナー Ⅰ』(リン・フルエリン 中公C・Novels Fantasia)。闇の守り手〈2〉―ナイトランナー1 (C・NOVELSファンタジア)
うーん、とりあえず、この本買うのは今回までだな。何かつまんねーっつーか、ノリ切れねーっつーか。
訳が悪いのか、原作が悪いのか悩んだけど、これは原作が駄目なんだろうな。なんだろう、出来のあんまよくないラノベみたい。会話と地の文のバランスがアレなのか、訳文の調子が合わねーのかわからんのですが。
つぅか訳者の人、そろそろ後書で云い訳するのはやめて戴きたい。発音云々なんか、そもそも日本語しか読まない読者には関係ないんだからさ、ハナっから書かなきゃいんじゃん。つーか、作家もそうだけど、作品以外のところで云い訳するなよ。同人作家なら許されても、アナタたち金貰ってんだろ? 読者は、金払って云い訳聞きたいわけじゃねぇんだぜ? 金を貰うなら、作品で勝負しろよ。後書書くのは構わない、つーか、読むのは好きだけど、出来なかった云い訳は聞きたくない。読者に使わせた金の分だけ、元は取らせろよ。時間がかかった云い訳は聞くけど、作品そのものの云い訳は聞かねぇ。――最近、そういうのまかり通るのかよと思うと、金払う立場として、げんなりだ。
まぁ、これにはもう金掛けないけどな。
昨日の朝日の朝刊だか夕刊だかに、文芸系のコーディネーターとかの話が載ってたけど、書籍、特に小説系も、そういう役割の人間が必要になってきたのかもしれない。つーか、あまりにも、昨今の作家とか、育ち切ってないのを青田刈りしすぎです。徳間のゲラ読みした時から思ってるんですけどさ。作家のためを思うなら、今回は落とさせろよ、とか云うの、多いですよ。力不足のまま出ていったって、2〜3冊で消えるだけじゃん。それなら、野にある書き手は、コーディネーターとかに探させて、編集は手持ちの作家を間違いなく育てた方が、何倍も効率がいいと思うんだけど。
一般企業だけじゃなくて、出版業界も、人材使い捨て時代なのかよ……


閑話休題
最近気になるものと云えば、サントリーの広報誌『クォータリー』。
季刊ですが、前号(水特集)から誌面リニューアルされて、いいカンジです。でも、前号買い損ねたけどね……(泣)
今号はお茶特集。お茶漬けがいろいろ載ってて、内部(店員)的に好評。表紙もかわいいんだ、鉄瓶(急須?)のかたちに、特殊加工がしてあって。
これで¥500-は安いよ! と思うのは、いろんな檄高雑誌を見てて(リアルエステートマネジメントジャーナルなんか、2mmくらいで¥1,800-とかじゃなかったかな)、感覚が麻痺してるからか? でも、個人的には、サブカル系有名雑誌(今号福山特集のアレとか、今号奈良ミチ特集なアレとか)より好きだけどなぁ。つぅか、やっぱサブカル合わねぇのか。


そう云えば、結局、桜坂洋小川一水(『復活の地』の方)のサイン本買っちゃったよ……

やっとこ、

スピードグラファー 2』。スピードグラファー (2) (ハヤカワ文庫 JA)
うむ……段々、仁木さんのいいところ&ヤバい(つーか)ところがわかってきた。
この人、アニメ的ガーッと盛り上げる話は苦手だな? 淡々としてて、どっか不思議なところにいつの間にか連れて行かれるので、『グアルディア』みたいな話はいいんだけど、『スピードグラファー』は、ホントに"アニメー!"ってカンジの話なので、ややこの人の作風とはどうかと思われ。
つかさ、雑賀の話のところと、水天宮の過去話のテンションが同じなんだよね――フツー(?)のSFなら、それでもまぁ、話の流れとかでいくらでもやりようがあるんですが、アニメはなぁ……この瀕死状態の心電図(おい!)みたいなテンションは、かなり↑ビミョー。
どうにも、銀座ひばりがどうかと思われ。いや、なんだろう、これがカマだったらいいんだけど、女としてはどうなの。これはまぁ、原作スタッフのアレだとしても(どうなのかしら)、好かんなぁ。
つーか、うおおおお、仁木さんのいいところが、この話だと生きねぇ! アニメとは合わないよ、ホントに!
次は、オリジナルで、仁木さんの頭から出たお話を読ませて戴きたいものでございます。いや、次巻も買うけどね。


次。
やっぱりというか、買っちまいましたよ『暴れん坊本屋さん 1』久世番子新書館暴れん坊本屋さん (1) (ウンポコ・エッセイ・コミックス)
いやもう、いろんなネタが痛かったり笑えたり。
とりあえず、新10号の箱(N販)は、一人二個持ちは可能だよね?と思いましたが(と云う私は、ゼクシィ2梱平気で持ちます――ああ、今の結束ですが。こないだ29kg持ったのが最高?)。腕の長さいっぱいに二列も当然ですよね! あれ? 他所は違うの?
つぅか、この本屋、どこの系列だ――N販で関東近辺(返品了承が蓮田センターって、うちと同じじゃん)の、オンラインで在庫の確認できるくらい大規模にやってるところの、ここ数年内に開店した店……! って、突っ込むべきじゃないのか、ここは(汗)。O阪屋じゃないから、Jュンクではないだろうが……
ちなみにうちの店は、取次はN販、Tハン、N教販、N村、M文、地方小、K報、T協、他にもあったかな? まぁこれくらい入ってます――どこの店かまるわかり(苦笑)。
多分、B教堂かM脇あたりじゃないかと(郊外型店舗ってことは)思うんですが。
って、コアな本屋ネタだなぁ……
まぁ、そんなことを考えるくらい、身につまされました、いろいろと。
うちなんか、S省堂でとりのけてたお客がきたりとか(つーか、S省堂から在庫確認の電話かかってきたことあるぞ! おい、客!!)、Jュンクの検索機の印刷物持って、「こちらならあるかもって云われて……」とか云うお客がきたりとか、いろいろありますが。ヤバいヤバい。
しかし、小さいお店は大変なんだなぁと、他人事のように思った私は、もうワンフロアのお店とかでは働けないわ……(最初のバイト先からして、多層階だったもんな……) 追加とか、結構叩きゃ出るもんな――だから他所から嫌がられるんだけど(苦笑)。
内情暴露みたいな感想になりましたが、普通の読者さんは、それはそれで、本屋の裏側覗けるので面白いのでは? 


それと、これは立ち読みな『やおい小説論―女性のためのエロス表現』(永久保陽子 専修大学出版局 買ってないから、画像はパス)。
はっきり云って、理数系のデータ検証みたいで、評論としてはあんま面白くなかったのですが。
最後のほうの、腐女子のCPの受攻設定における心理分析みたいのに、「彼女たちは、男になって、自分が愛でるキャラを犯したいのだ」云々とあったりしたのですが。
確かにそういう部分もあると思うけど、それだけじゃないだろと思う――だって、腐女子が好きな受キャラって、どっか自分の投影じゃん。ってことは、それを男として犯す、という行為の裏には、無自覚のナルシシズムがあると思いますね。
だから、攻をカッコよく書くんでしょう、皆。カッコいい攻=男、に犯される、可愛い受=私、という構図。だから、世のBLの受は皆、女の子みたいに繊細で綺麗なんでしょう。かくありたいと思う"私"。だから、最近のBLはつまんねーんだろうなぁ、などと、ややひねた私なんぞは思っちまうのですが。
まぁいいや、私がコミック離れて4年ばかりですが、その間主要な作家陣が変わらないくらい、BL小説業界も人不足らしいしな。どこも新人育たないねぇ。


さて次回は、やっとこ! 『大奥 1』、それから来月の大塚英志の角川Oneテーマ、徳間の『護樹騎士団』〜』はどうしよう、つーか『ナイトランナー 2』買ったじゃん、って云う。
とりあえず、『大奥』かな?

予定は未定。

貧乏×2と云いながら、誘惑に負けて買ってしまいました、E.M.シオラン『時間への失墜』(国文社 E.M.シオラン選集 4)。時間への失墜 (E.M.シオラン選集)
昔、シオランハマりたてのころ(10年近く前だよ……)、この本、もう版切重版未定だったのに、去年になって改訂版が出てたなんて……! これで、『苦渋の三段論法』(国文社 E.M.シオラン選集 2)が手に入れば、シオランの邦訳は全部集まるんだけどなぁ。あ、対談集(法政大学出版局 叢書ウニベルシタス)を持ってないや。
そして、久々に読み返してみましたが(昔、図書館で借りたことはあるのよ)、やっぱり好きだ。
訳者の金井裕氏は「何度か読みかけの本を叩きつけたことはあった」と初版の後書にて書かれているけれど、そうかなぁ、と思うのは、シオランの"毒"が、非常に知的に抑制された"毒"であって、ネット上の、例えば2ちゃんのスレに見られるような、生の醜悪さとしての、エゴイスムの発露としての"毒"とは異なっているからなんだろうなぁとは思います。↑こんなの見てたらね、シオランのなんか、非常に澄んだ、美しい毒薬ですよね。美しい日本刀に触れてみたくなるような、身の危険と引き換えにしても良いと感じてしまうような、美しい、呪詛と憤怒の思想――シオラン53歳の時の著作ですが、しかしその感性は青年のような青さに充ちています。
人間であることの不運! 生き辛いと感じる人は、もしかしたら、シオランの著作を読むといいのかも知れない。人間であることへの憎悪、苦渋、怨嗟、そういうものがあればすこしだけでも生き易くなる人も、きっと世の中にはいるだろうから。でも、精神が疲れている人は、止めた方が良いかもしれない。彼の吐き出す"毒"は、疲れた精神を、容易にThanatosのかたへ押しやるだろうから。
智慧あることへの呪詛と、底辺の人間への、惜しみない愛、だが決してキリスト教的隣人愛ではなく。
ほんとに、この人の本が集まるのはいいんだけど、もう増えることがないんだなぁと思うと、ちょっと淋しい気分でもありますよ。決して早逝ではないんだけどね。


次。
久々に地元(つーか隣りの市――うち近辺、6つの市の住民は、どこの市の図書館も利用できるようになってるので)の図書館へ行って、ユダがらみで見つけました、松原秀一『異教としてのキリスト教』(平凡社ライブラリー)。異教としてのキリスト教 (平凡社ライブラリー)
最初の章が「ユダの系譜」だったので買ってみたのですが、これが中々面白い。
芥川の『奉教人の死』の元になった伝説を探ってみたりとか、聖遺物にまつわるあれこれとか、聖母マリアの"無原罪のおんやどり"の話とか、聖人の名前の各国における変換のされ方とか。
しかしあれだよね、異国の宗教が受け入れられるかたちってのは、洋の東西を問わないところはあるんだね。日本でも、夢の中に御仏が現れて、って、確か聖徳太子が、蘇我氏と一緒に、物部氏を討った時に、そういうのなかったっけな? で、その勝利の後、太子は四天王寺を建立したんだよね、確か。
そういうののキリスト教版みたいなのとか、載ってたりします。
聖書だけじゃないキリスト教、ってのも面白いですね。
とりあえず私は、「ユダの系譜」に載ってた、日本人の書いたユダ・モチーフを読み漁ってみようと思いますよ。


で、次こそ『スピードグラファー 2』か、『フラジャイル』もそろそろ……

いつもいつも変なラインナップなのですが。

今回もまた。


まずは、雑誌『群像』10月号。何故か評論特集の中に、桜坂洋の名前があった(もちろん、批評の対象として、なおかつ平山瑞穂(知らない)、山崎ナオコーラと同じ文脈らしい)のと、興味はあるが買う気はしない保坂和志と、石川忠司の対談があったので。
……評論はねー、正直云って、良くわからなかった。ついでに(評者違いますが)佐藤友哉論も読んだのですが、さらに良くわからなかった。かと云って、保坂×石川対談が腑に落ちたかと云うと、まったく落ちやしなかったのですが。
つーか何、文学畑の人たちって、こんないろいろひねくり回さないと話書けないの? それとも何、あれは文芸誌に合わせてのポーズなの? ちっともわかんない。
つーか、こんなこと考えてるから、現代文学ってつまんねーんだよ! と、只今読むべきジャンルがなくなりつつある私なんかは、そんな風に思っちゃいましたよ。
つか、石川氏が、対談の中で「現代小説の方が古典よりもレベルが高いと思ってる」って云うのは――そうか? そうなのか?
でもさぁ、つまんないから文芸誌が売れなくて、その代わりにラノベが売れるんじゃないの? わかりにくいこと=良いもの、に現代文学がなりつつあるから、わかりやすいもの=ラノベ、が売れるんでしょうが。まぁ、そんなこと云ったら、ラノベ小泉政権と同じようなものだって云うことになっちゃうけどね!(笑) すげぇ三段論法(笑)。
正直に云えば、やっぱり芥川の短編は美しいし、シェイクスピアの戯曲はドラマティックだし、ヘッセやロマン・ロランの物語は未だに救いを与えてくれるのですが。
それに該当するような現代小説って、まだ出てないよね。つーか、現代作家で後世に残りそうなのって、W村上とばななくらいじゃん? しかも、あんまり大きくは残らなさそうな、戦前で云うなら、尾崎紅葉とか荷風とか(まぁ、国内ではネームバリューあるけどさ)くらいにしかならないんじゃないのかなぁ。
まぁ、『群像』買うのも今回だけだね。それくらいなら、『現代思想』や『ユリイカ』の方が楽しいよ。


次。
実は只今、職場で早川書房60周年とか云って、フェアを開催しているのですが。
ビンボービンボー云いながら、サイン本があったので、つい買ってしまいましたよ、ディック・フランシス……! 文庫全巻持ってるのに……!
だって、だってレアじゃん、フランシス! 文庫のI係長は、「あれ、こないだ死んだよな?」とか(それはマクベインです!)めっちゃ間違えてくれましたが。
他にも、末見とか、トリィ・ヘイデンとかダニエル・キイスとか、小川一水とか牧野修とかのサイン本もあって、これはこれで迷いました。が、冲方と仁木さんのはなかったので、おとなしくフランシスのみで。


そして、これに合わせて、リバイバル復刊が……!
昔、古本屋を駆けずり回って集めたジーン・ウルフ新しい太陽の書』四部作拷問者の影 (ハヤカワ文庫SF―新しい太陽の書)も復刊で、血反吐。まぁ、20年近く経ってるので、お値段は¥200-ほど上がってましたが(苦笑)、しかし、集まるまでにかけた労力は、¥200-×4ではきかないはずだ……! いいんだけどね、もう。
しかし、これをきっかけに、『新しい〜』の未訳の続編、刊行されないかなぁ。どうなんでしょう、早川さん。
あ、あと、同じリバイバル作品で、『ビバ! ドラゴン』というFTアンソロジービバ!ドラゴン―ファンタジイ傑作集2 (ハヤカワ文庫 FT 28)を買ってみました。とりあえず、『オズの魔法使い』のL.フランク・ボームのムラサキ・ドラゴン2部作(?)だけ読みましたが、面白いよ! 他に、ロバート・ブロックやG.K.チェスタトーンなんかの推理畑の大御所の作品が載ってて、これはこれで面白そう。興味のある方は、今なら大きい書店には並んでると思うので、ご一読あれ。


あと、今月のちくま学芸文庫の新刊『フラジャイル』(松岡正剛)が面白そうなので、うっかり買っちゃいました。弱さや欠損の魅力と云うか、強さと云うか、についての考察。
案の定、参考文献のところに網野善彦赤坂憲雄、あと、E.M.シオラン(好き♥)への言及があったりしたので、同じ穴の狢系らしいです。
とりあえず、1章目を読んでる段階で、もう結構好きだ、この人。
今書いてる二次創作あたりにも活用できそうだけど、とりあえずは純粋に興味だけで。わー、"欠けた王"とか、気になるよ〜!


えーと、高瀬さんの幻水は読んだのですが、ちょっと今の段階では感想書きづらい――水滸伝って、短く書くの難しいよね、ってことで、後半出てから書こうかな。


と云うわけで、次は21日予定(?)の『スピードグラファー 2』、あるいはその後の『大奥 1』で。